細菌の増殖・発育に関わる因子

食品微生物

細菌にとって好条件な環境であるほど、分裂スピードおよび増殖スピードが上がる。では、細菌にとっての環境の良しあしを決める要因はなんだろうか。

その3大要素とは、

  • 栄養素
  • 水分
  • 温度

大きくはこの3点が、細菌の発育状況に大きな影響を与える。また、この3つに加えて、pH、酸素もある。

栄養

細菌も私たち動物と同じように、運動したり増殖したりするのにエネルギーを必要とする。化学物質をエネルギーにする細菌、光をエネルギーする細菌がいますが、エネルギー源がなければ、細菌は増殖することができない。

温度

それぞれの細菌に、それぞれ発育に適した温度がある。

最適な温度のことを至適発育温度といい、その前後に増殖可能な温度帯の幅があり、増殖可能な最低温度、また最高温度に近づけば近づくほど、増殖のスピードはゆっくりになる。

一般的な食品の菌は常温帯でよく増殖し、食品は腐敗してしまうが、冷蔵庫にしまって冷蔵温度帯の環境にするだけで、食品が長持ちする。それは、冷蔵帯では食品を腐敗させる菌があまり増殖できないため。

水分

細菌細胞の約80%は水であり、栄養や老廃物はすべて水に溶けて吸収、排せつされる。

食品の中の水は、食品成分から遊離した水分である「自由水」と、食品成分と結合した水分である「結合水」がある。微生物が利用できるのは自由水のみで、結合水は利用することができない。

食品の中の自由の割合は、水分活性値で表される。

自由水の割合が高い、つまり水分活性値が高いほど細菌は増殖しやすく、
自由水の割合が低い、つまり水分活性値が低いほど細菌は増殖しにくくなる。

参考記事 水分活性値を低くすると食品中で微生物が増殖しにくくなる

pH(水素イオン濃度)

どの程度酸性なのか、あるいはアルカリ性なのかを表す数値がpHだ。pHが7のときが中性で、数字が小さくなるほど酸性となり、食品は酸っぱくなる。多くの細菌にとって、中性(pH7)付近が発育に適している。

一般的に食中毒菌は、pH5以下では増殖が抑制され、pH4以下では増殖することができなくなるものが多い。カビ・酵母に最適なpHは5~6程度だ。

pHを下げることで、食品の腐敗を遅らせる微生物制御法もある。麺のpHは通常6.5程度であるが、そのままでは腐敗しやすく、長い流通期間に耐えることができない。乳酸やリンゴ酸、クエン酸などの溶液に浸して、pHを5程度に下げる方法で流通期間を延ばしている。

酸素

好気性菌

酸素のある環境下だけで、増殖ができる微生物だ。酸素がないと増殖ができない。

バチルス属、カビなど。

通性嫌気性菌

酸素があっても無くても、増殖することができる。

酵母、大腸菌、ブドウ球菌など。

編性嫌気性菌

酸素があると増殖ができない。酸素が無い環境下でだけ増殖することができる。

ボツリヌス菌、ウェルシュ菌など。

ビン詰、缶詰、容器包装食品などで、酸素が無い状態の食品で発生しやすい。容器包装詰め食品では、特にレトルトに似ているが120℃4分の加熱処理がなされていないものなど。

食品の中でボツリヌス菌が増殖すると、容器は膨張して、開封したときには異臭がすることがある。

微好気性菌

微量の酸素がある環境下でのみ増殖することができる。

カンピロバクター、ピロリ菌など。

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