管理図とは、グラフの横軸を時間として、ある一定の時間ごとのデータをプロット(打点)してつくる折れ線グラフだ。製造工程にどのような変化があるか時系列で解析する手法である。
データは、製品の規格値や工程上で管理している数値などをつかう。管理図上の折れ線グラフの推移を見て、工程の問題発見や問題解析に役立てる。
☆管理図
管理図に管理限界線を設定する。管理限界線とは、ここを越えるくらいの大きな変化があったら異常だよね、と判断するための線だ。
たとえば、食品の製造工程でオーブンを使うとして、オーブン温度の管理図があったとしよう。温度を設定していても、出し入れしていれば、とうぜん多少の温度の上下が見られるはずだ。 しかし、設定温度より10℃も、20℃も高くなったら、異常であろう。ここに管理限界値を設定する。
通常通りか異常が発生しているかを判断
異常が発生したときに管理図上で気がつけるようにしたい。折れ線グラフがどのような姿になったら異常と判断するのか?オーブンの例で考えてみよう。
まず、データが管理限界内でランダムに推移しているのであれば、正常にオーブンは稼働してあると判断しそのまま工程を見守る。なんらかの小さな原因によって、多少の温度上下はあるだろう。これは、偶然原因によるばらつきといって、通常起こるものだ。
異常だと判断するのは、
- データが管理限界線を越えたとき
- 管理限界線の内側であっても普通では起こらないような、おかしな動きをしたとき
である。このデータのばらつきを異常原因によるばらつき、という。
データが管理限界線を越えたとき
プロットするデータは、製品の規格値や不良率などで、この変化を確認しておくと異常に気が付けるようなものにする。 JISの管理図では、管理限界の幅を上下3σで設定している(3シグマ法と呼ぶ)。仮に、工程が安定しており何ら異常は無いとしたら、その管理限界を越えるのは0.3%以下と、とても小さな確率になる設定だ。
なぜ、このような小さな確率となる箇所に管理限界を設定するのか?
偶然原因によるばらつきによって0.3%の確率で起こることなど、めったに発生しない。仮に発生したら、それがたまたま起きたと考えるよりも、異常があって起こるべくして起こったと考える。そして工程に異常が起こっていると捉え、アクションを起こすようにするためだ。
なにも異常が起きていないのに、異常が起きたと誤った判断して、なんらかの対応をしてしまうことを少なくすることができる。
管理限界線を越えるほどのオーブンの温度変化が見られたら、なにか異常があると判断し、なんらかの対処をすることになるだろう。
管理限界線の内側であっても普通では起こらないような、おかしな動きをしたとき
一方、プロットされたデータが管理限界内であるのに実は異常が起きていて、気がつかないこともありえる。これを防ぐために、管理限界内でデータが推移していても、普通でない変化、おかしな変化がないかどうか見るようにするのだ。
たとえば、
- 6点が連続して増加した、または減少した
- 中心線に対してどちらか同じ側に9点が連続した
などが注意信号のパターンになる。こういったことは偶然には起こりにくいので、なんらかの要因が働いている可能性がある。異常が起きていると判断して対応をする。
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