さらし首とは何か?
クレーム品、または社内で発見した不良品を全従業員に知らしめて意識してもらうための方法として、「さらし首」と呼ばれるものがある。
これは、発生したクレーム品や不良品を全従業員の見えるところに展示するものだ。
そうすることで、そのクレーム品が発生させた製造部門のひとたちの、その仕事の結果、その失敗は、社内の全従業員の目にさらされることになる。
この目的は、失敗したことを責めることではなく、公衆の場にさらすことで当事者の意識を高めることだ。
当事者には、「まずい、こんなことされたら嫌だからもう失敗はできないな」、「しっかりやらなきゃ」といった気持ちが芽生えるようになるだろう。
また、当事者以外のひとにも、その失敗を知って学びを得てもらい、意識を高めさせる効果もあるだろう。
食品でなくて他の業界の話だが、鉄板を切ったり抜き取ったりして製品を作る製造業では、鉄板の残りである「抜きカス」を展示したりする。
抜きカスとして残った分は活用することができずロスとなるので、担当者の作業レベル、原材料の歩留りを示すものになる。それが従業員全員にさらされてしまうのだから、担当としては下手な仕事はできなくなるわけだ。
「さらし首」として、クレーム品、不具合品を展示するときには、次の点に気をつけるとよい。
展示するときに気をつけること
見てもらうようにしなくてはいけないし、また、見たもらえても理解してもらえないといけない。従業員にとって見やすいように工夫をする
見てもらえるようにする
展示場所として、従業員全員が往来する場所で、足を止めてゆっくり見られる場所を選ぶ。
ちょっと話は違うけれども、街中での募金活動、あるいは歌の路上ライブを見かけたときに、彼らが選ぶ実施場所が悪いなと思うことがある。
駅の改札を出てすぐのところなど、ひとの流れが激しくて、通行人が足を止めたかったとしても止めにくい場所でやっている光景をよく見かけるのだ。
ひとがずっと流れているので足を止めにくく、興味があるひとも流れに押されてそのまま通過してしまうことが多いかと思う。もっと人が足を止めやすい場所でやればいいのになと思う。
それと同じ話で、不良品の展示は、従業員がさーっと通り過ぎてしまうような場所で行うのでなく、目立つ場所で、かつ、ゆっくりと見ることができる場所にすべきである。
また、これは、全従業員に事務所へと来てもらって、あるものを渡したいと思い、従業員に連絡をするための専用掲示版に連絡書類を貼りつけたときの話だ。
一部のひとたちが事務所に来る気配がないので直接会って話をしてみると、その掲示された案内書にまったく気が付いていなかったという。連絡事項を貼りつける専用掲示版があったとしても、見ないひともいるということだ。
ひとは、ふだん目にしないところに何かが掲示されていても、そこを見ようとしない。掲示物は目に入ってこない。
掲示物は目立つようにしたほうがよいだろう。さらし首の展示品と一緒に掲示する読んでもらいたい資料があれば、枠に派手な色をつけるなど、なにかしらで目を引くようにするのがいいと思う。
食品に混入していた異物は小さいので、展示や掲示をしても、目立たないと従業員が気がつかないこともあるだろう。
理解してもらえるようにする
品質管理の担当者は、製造部門の全体が見えていて、クレームや不良品の発生原因についても熟知している。
そのレベルで説明をすると、一般従業員やパート従業員にとっては、なんのこっちゃわからないかもしれない。
誰が見ても、このクレーム品、不良品は何が問題なのか、何が原因で発生したのかがわかるようにしなくてはいけない。とくに従業員に外人が多い場合は、説明文に注意が必要である。
外国人を採用するときには、基本的には日本語をある程度は理解できる人を選ぶと思うが、当然、外国人にとって漢字は難しい。平仮名やカタカナを振るようにしたり、理解を助ける図やイラストも使用するようにしたい。
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