単語登録で文章作成のスピードを上げる

仕事のコツ

品質管理の仕事では、お客様へのクレーム報告書や、社内へ品質情報を提供する報告書など、文章の作成が多い。パソコンの機能を使い倒して、速く、そして正確に作業したいものだ。

この記事では、パソコン活用法のひとつである単語登録を紹介したい。

文章作成とは、自分の頭で思考したものを、(現代では)キーボードを叩いてパソコンに入力することである。これは、“思考”と“入力作業”に区別できるということだ。

“思考”することにおいては、時間をかけて問題の本当の原因を考えたり、戦略を練るのはよいのだが、“入力作業”に時間をかけすぎてしまうのはよくない。

頑張って自分の指の運動を激しくして速く入力しようとするよりも、パソコンを上手く活用して、コピーできるものはコピーし、自動でできるものは自動で実行し、より少ない労力で、速く正確に作業をするよう意識を持ちたい。

単語登録なるものを利用すれば、自分の指でキーを叩かなくても文字を表示することができるようになる。文字入力作業のスピードは確実に速くなる。

単語登録とは?

WindowsにもMacにも、自分が入力したい言葉を登録すれば、頭文字だけ入力して変換キー(スペースキー)を押すだけで、その言葉に変換できる機能がある。たとえば、

「ありがとうございます」を、頭文字「あり」で登録したとする。

「あり」と入力し変換すると、

  • 有り
  • あり
  • アリ

といった文字が変換する候補として出てくる。そこに、

  • ありがとうございます。

も加わるようになっているはずだ。「ありがとうございます。」をすべて入力することなく、「あり」とだけ入力して変換キーを押せば「ありがとうございます。」と入力できるようになり、手間が省けるようになる。

これが「単語登録」の機能だ。

登録さえしてしまえば、入力したい文字をすべて入力しなくてもいいのだ。頭文字だけ入力して、変換キーを押せば、目的の文字や言葉が出てくる。

  • 「あり」と入力して変換・・・ありがとうございます。
  • 「おつ」と入力して変換・・・お疲れ様です。
  • 「こば」と入力して変換・・・小林営業本部長

といった具合だ。

登録方法

・ツールバーの単語の登録を選択

speed-up-by-word-registration-9-1

speed-up-by-word-registration-9-2

「単語」の欄に・・・「いつもお世話になっております。」

「よみ」の欄に・・・「いつ」

と記入・。登録した後、「いつ」を入力して変換キーを押すと「いつ」、「何時」などに加えて、「いつもお世話になっております。」がリストに加。

単語登録の効用

  • 入力の手間が省ける
  • 入力ミスが減る

登録すればするほど、入力の手間が省けることはもちろん、入力ミスが無くなる。入力ミスがあると、Backspaceキーを何度か押して文字を削除しなくてはならないので、その分の時間をロスしてしまう。しかし、正しい言葉を登録すれば、毎回正しい言葉がかならず表示されるのだから、Backspaceキーを押して文字を削除することもなくなる。

自分が入力しようとしている言葉を予測して表示してくれる「予測変換機能」も使えるが、予測される言葉が自分で入力したい言葉とドンピシャで合うは限らない。単語登録であれば、自分の入力したい言葉をそのまま登録することができる。

食品の品質管理の仕事で使う専門用語は、食材名や食品添加物名など以外に多くある。これらをどんどん登録するとよい。

どんな言葉を登録するか

私は何個の単語を登録しているか数えてみると、約400個あった。どんな言葉を登録するか下記を参考にしてほしい。

6~7文字以上の言葉

(ひらがなで)6~7文字を越える言葉はすべて登録してしまっていいのではないかと考えている。その言葉の入力のしやすさにもよるが、~5文字程度までは、そのまま入力する方が早い。

「小麦粉」を通常入力すると、

k・o・m・u・g・i・k・o・変換キーで「小麦粉」と表示される

⇒9回タイピングで変換となる。

「こむ」で登録をした場合、

k・o・m・u・変換キーで「小麦粉」と表示される

⇒5回タイピングで済む

しかし、変換キーを押したら、たとえば「混む」などが最初に出てきて、変換リストで選ぶという作業が発生するので、「小麦粉」程度の長さの言葉であれば、単語登録はせずにふつうに入力したほうが速いだろう。

私が時間を計測した結果では、ひらがなで6~7文字を越えてくると登録をしたほうがよいとわかった。登録をしてみて、頭文字2文字で登録して入力するほうがいいのか、その言葉の文字をすべて入力するのほうがいいのか、その場で試してみてよいほうを選ぶとよい。

商品名

商品名といっても自社商品の名前だけでなく、原材料や包材、そのほかパソコンで入力することがあるモノの品名すべてだ。商品名には、長々としたものが少なくない。たとえば次のような商品名があったとする。

「コトコト煮込んだコクうまカレー」

これをk・o・t・o・k・o・t・o・n・i・k・o・n・d・a…..
とすべて入力するには、何秒かかるか実際に計測してみた。

7秒かかった。

単語登録をするとどうだろうか。「こと」と入力して変換キーを押せば表示できるようにしてやってみると、3秒で入力できるようになった。

この言葉だけだと、7秒が3秒に短縮しただけではないか、たった4秒の短縮で大したことがないではないか、と思、これをあらゆる言葉で使用した場合を考えてほしい。ちりも積もればなんとやらで、かなり入力時間を短縮できる。

会社名

長い会社名に活用できる。社名を間違えてしまうことや、この会社は前㈱だっけ、後㈱だっけと悩むことも無くなる。こんな会社名があったとする。

「ユーラシア フーヅ ジャパン株式会社」

フード(Food)の複数形だからフーヅ(Foods)なのである。間違えてフーズにしてしまい、

「ユーラシア フーズ ジャパン株式会社」

と入力してしまったり、半角スペースを忘れてしまい

「ユーラシアフーヅジャパン株式会社」

と間違えてしまうことがあり得る。だが、最初に正しい名称を登録しておいて、それを使うようにすれば、このような間違いがなくなるのだ。

また、文書にお客様の会社名を書く際、間違えてしまっては失礼なので、完全に覚えていない会社名だと、念のため名刺などで確認することはないだろうか?これにも時間がかかっている。

登録してしまえば、ユーラシアとフーヅの間に確かスペースが入ったなとか、「株式会社」株式会社が前についたか後ろについたか、どっちだっけ?と考えたり、確認したりしなくてもすむようになる。

人の名前

立花営業課長という方がいたとしたら、

「たち」で「立花営業課長」

登録してしまおう。

原材料名、包材名

食品メーカーの品質管理の仕事で、商品の規格書の作成をするときに、食品の原料・添加物、その原産国名を入力することが多々ある。これらも長い言葉のものはすべて登録してしまうとよい。添加物には、登録しがいのある名前のものがある。

  • グリセリン脂肪酸エステル
  • ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン

このような長い言葉は、単語登録をすると入力がとても楽になる。

商品規格書の作成時には、原材料情報の欄に国名を記入する。これも同様に長い国名は登録しよう。日本とかアメリカなど短い名前は、単語登録せずにふつうに入力したほうが速いので、登録しなくてよいだろう。

また、複数の国を一緒に登録するのもありだ。たとえば、砂糖に使われているサトウキビの原産国は、「オーストラリア、タイ、日本他」が多い。こういったよくある組み合わせも登録してしまおう。

「おー」で登録をし、「おー」を入力、変換で、「オーストラリア、タイ、日本他」が出てくるようにしよう。

業界や会社特有の言葉

フードセーフティやフードディフェンスなど業界言葉や、自社の中だけで使用されるような特別な言葉も登録してしまおう。

定型文やよく使う言い回し

用語だけではなくて、ある程度の長さのある文章自体も登録してしまうことができる。たとえば、私が行っている品質管理の業務に、作成したクレーム報告書を社内関係者へのメール配信する業務がある。このメールの題名は、「クレーム報告書の配信」としている。「くれ」で登録をしてしまい、「くれ」+変換キーで、「クレーム報告書の配信」と出てくるのだ。

こメールの文面は、「くれーむ」で登録して、「各位 クレーム報告書を添付いたします。商品名  内容  ご確認お願い申し上げます。」

が出てくるようにしている。

これは、自分の所属する業界、仕事でよく活用する用語は、なんでも使えそうだ。HTML(WEBサイトをつくるための言語)のプログラミングをする人であれば、

「リン」 <a href=”.html”></a> ・・・・(HTMLでリンクを張る)
「p」 <p></p>

など使える。

そのほか何でも登録できる

小林李行本部長と滝川営業課長というひとたちに同時にメールを送ることがよくあるのであれば、メール文の最初に記入する宛名で単語登録してしまおう

「こば」・・・「小林営業本部長、滝川営業課長」

あるいは、

「こばたき」・・・「小林営業本部長、滝川営業課長」

登録のルールを決める

私の場合は、登録する際の基本ルールは、頭文字2つでの登録だ。ただし、短い言葉だけでなく文章全体も登録するような場合は、頭文字2文字ではなくて、その文章を示す言葉で登録することがある。

たとえば、作成したクレーム報告書を社内関係者への配信するメールで、

「各位 クレーム報告書を添付いたします。商品名  内容  ご確認お願い申し上げます。」

の文章は、2文字ではなく「くれーむ」で登録している。登録ルールのやり方はいろいろあるので、各人でやりやすい方法でやるのがよいと思う。

注意点

単に「クレーム」と入力したいだけなのに、上記したような登録をしていると、「くれーむ」と入力して変換キーを押したら、

「各位 クレーム報告書を添付いたします。商品名  内容  ご確認お願い申し上げます。」

が出てきてしまったりする。これ邪魔になって嫌であれば、その場合は、「くれーむめーる」といった登録にすればよい。

短い言葉は登録しても意味がないし、逆に邪魔になることもある。たとえば、「日本」、「アメリカ」、「りんご」、「オレンジ」など短い言葉はふつうに入力したほうが速いし、「あめ」と入力して「アメリカ」が出るように登録した後、「雨」と入力したいのに、「アメリカ」って邪魔になることがある。

登録していくほど、変換するときに登録した言葉が邪魔てくるので、登録する言葉を工夫するとか、短い言葉は登録しないなどの配慮が必要だ。

大量に登録する

私は、これは登録したほうがいいな、と思う言葉が出てくるたびに登録してしまっている。今のところ単語登録した言葉が、他の言葉を返還するときに邪魔になることはほとんどない。単語登録すれば時間短縮できそうなものは、すべてしてしまうのが良いかと思う。

それを意識しながら文書を書き、登録したほうがよさそうな単語がでてきたら、その場で登録したほうが入力が速くなるかどうか確認をする。もし速くなるなら登録してしまおう。

まとめ

単語登録を駆使することで、あなたの文章入力は、かなりのスピードアップが図れるはずだ。ぜひ試してみてほしい。

コメント

  1. […] ・ムダなことをやらないのがまず第一だが、仕事を速くやるためには、数秒を速くするための工夫を積み上げることも大事ではないかと思う。たとえば、ショートカットや単語登録を徹底的に活用するなどのパソコンスキル、資料作成はいちからつくるのではなく以前作成したものやテンプレートを活用するといった工夫、移動するときに速く歩くといった原始的な方法もある。それぞれひとつの工夫では、大きな効果は望めないかもしれないが、それらを幾重にも積み重ねていくと、何も工夫をしない場合と比べて埋めようのない大きなスピード差があらわれてくるだろう。 […]

タイトルとURLをコピーしました