消費者の歯の詰め物が欠けて異物混入と勘違いされて、クレームとなることがある。銀色の異物、白っぽい色やクリーム色のプラスチック片のような異物が食品に入っていたと報告を受けたときには、歯の詰めものである可能性を考えてみよう。
高齢者と思われる方から受けた電話のことだ。食品を食べていたら、硬いものが中に入っていたとのことだった。
サイズなどの異物の特徴について質問し、さらに色はどのような色なのか聞くと、
「銀色っぽい」
とのことだった。ひょっとしてと思って、「お客様の銀歯の可能性はないでしょうか」と聞くと、
「確認する」
とのことで保留状態になり、しばらく待った。結果、お客様自身の銀歯がとれて噛んでしまったのだとわかった。その件に関しては、電話口で一見落着した。
お客様自身の歯の詰めものがとれてしまい、それがもともと食品に入っていた異物と勘違いなさることがある。そういったことがあることは念頭に入れておきたい。
銀色や金色の詰めものがとれたのであれば、現物をよく見れば、歯の詰めものであることは比較的わかりやすい。銀歯が取れると、大きく凸凹した十字の形など特徴的な形で、また、あっ、自分の歯に大きな穴があいている!と気がつくので、噛んでしまったものが銀歯であることは、わかりやすい。(私自身もキャラメルを食べていて、銀歯がとれてしまったことが何度かある。)
しかし近年、歯の詰めものには樹脂がよく使われるようになっていて、これは白が少し濁ったような色、クリーム色をしていて、それを見ただけだと歯の詰め物であるとは、気がつきにくい。
樹脂の歯の詰めものを入れている方は、自分自身の詰めものを見てみよう。入れていない方はインターネットで、“歯の詰めもの レジン” で画像検索してみよう。実際に欠けたものの画像はないが、歯に詰まった状態の画像であれば出てくる。画像を見ておけばイメージは湧くと思う。
歯の治療で頻繁に使用されている材料がレジンだ。レジンは銀歯より壊れやすく、食品を咀嚼中に欠けてしまい、食品に混入してしまうことがある。私自身が対応したクレームでも、何度かある。受け取った異物は、
- プラスチック片が溶けたようなもの
- 薄くプラスチックが剥がれたようなもの
であった。
前者を異物クレームとして受け取ったときは、これがなにであるかわからなかった。工場内で類似品を探すと、原材料のダンボールのフタを止めるのに使われているボンドのかたまりに似ていた。
後者は、プラスチックが薄く欠けたのだろうと思い、工場内の白いプラスチックに痕跡がないか探したが見つからなかった。
外部の専門検査会社に検査してもらい、両者ともに、歯の詰め物であるとわかった。白っぽい色、あるいはクリーム色の数mmのプラスチックのような異物を受け取ったときには、歯の詰めものである可能性も考えつつ対応にあたるとよい。
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