食品検査で菌が見られたときにその原因を探す方法

食品検査で菌の発生が見られたときに、汚染源を特定する方法をお伝えしたい。食品の検査をして基準以上の菌が発生したのだが、なぜそうなったのかわからないといった状況に遭遇したときに、この考え方を役立ててほしい。

もともと賞味期限が短く、菌が早く増殖しやすいような食品を、ある程度の日数保管をして検査したというような場合であれば別で、そうではなく、ほかの類似品では菌の増殖は見られていないのに、この該当食品だけなぜか菌の発生があったようなとき、原因を探し出すための方法だ。

基本的には次の2つから考えることができる。

1.原材料の汚染

食品のおおもとの原材料となる農産物は、その農作物が育った環境、つまり土壌、水、空気、動植物などに存在する微生物に汚染される。農作物は多かれ少なかれ微生物に汚染されているものだ。

 2.製造工程での汚染

工場内の空気、機械や器具、作業者からの汚染がありえる。空気中には微生物が浮遊しているし、機械や器具も洗浄・清掃が不十分であると、微生物に汚染されてしまう。作業者の手から食品への汚染も考えられる。

私が実際にこの考え方を使ったときのことをお伝えしたい。

ある食品の開発段階において、工場でテスト製造を実施したときのことだ。その食品は、スライスされた加熱していない生の果物を使う製品だった。テストで完成した品を数日間保存して検査にかけた結果、真菌(カビ・酵母)の発生が見られた。お客様が真菌の検査基準として求めるのは、陰性であることだったので、原因を調べて真菌の発生ないようにする必要があった。

このときも、

1.原材料が汚染されていた

2.製造工程での汚染があった

の2点から原因を探った

原材料をそれぞれ検査した

まず、原材料がもともと汚染されているのではないかと考えた。特にあやしかったのは果物だ。果物、また念のためその他の原材料も個別に検査を実施した。結果は、予測とは違って果物からは真菌は見られず、他のひとつの原材料だけに真菌が見られた。しかし、その原材料メーカーが作成した規格書を見ると、原材料の出荷前の検査基準では真菌の発生は無しであることがわかった。となると、原材料にもともと真菌が存在しているというよりも、製造工程環境からの二次的な汚染であると考えられた。

製造工程環境を確認した

製品を製造している部屋のふき取り検査を実施した。作業台や器具などからは真菌は見られなかったが、混合機からの真菌の発生が見られた。そのため、混合機をくまなく見てみたところ、非常に見えにくい機械の隙間になんとカビが発生していたのだった。

そして、検査で真菌が発生していたとわかった原材料は、この混合機で混ぜ合わせ、その後は加熱せずにそのまま最終食品に使用していたものだった。

原因はこれであった。混合機にカビが付着していて、混合機にかけた原材料にカビが付着した。各原材料の個別の検査では、この原材料だけに真菌(カビ・酵母)の発生が見られた。

混合機は、そのテスト製造で使用するまではしばらく動かしておらず、ビニールをかぶせたままになっていた。ずっと見ていないうちにカビが発生してしまっていたのだ。気が付かずにそのまま使用してしまったわけであった。

原因が特定できれば、対応はすぐできる

原因がわかれば、それに対応をとればいいだけなのであとは簡単である。どんな問題でも原因がわかれば、ぐんと解決は近くなることが多い。

混合機を一度徹底的に清掃し、カビ発生防止の薬剤をかけておいた。また、今後の発生がないように、定期的に確認を行うこととした。その混合機を使って製造した製品には、真菌(カビや酵母)は見られなくなった。

まとめ

食品の微生物汚染を調査をして探る際には、

1.原材料の汚染

2.製造工程での汚染

の2つから考えて仮説を立てアプローチをしていくことをおススメする。原因に突き当たる。