清掃をするだけで防げるクレームがある

クレーム

食品工場内は清潔に保つことが当然のこととして求められる。不衛生な環境では、食品が微生物的に汚染されるというだけでなく、製品への異物混入のおそれも増大するからだ。

清掃不足から発生する異物混入

ある機械の上面に溜まってしまっていたゴミが製品に落下、付着したまま製品を出荷してしまい、異物混入クレームとなったことがあった。

その機械の上面の清掃を行ったのだが、数ヵ月後に再度同じクレームが発生してしまった。清掃が完璧にできておらずゴミが残っていた上、その後の清掃の継続もできていなかったためである。

清掃をしたあとに見てみたときには、ほぼキレイに清掃できていると思ったのだが、少しだけそのゴミが残っていた。それが再度混入してしまったのかもしれない。

また、同時期に、製品への虫の混入クレームがあった。

今度はその機械の下である。虫の発生源となっている食品残さがあった。その近くに設置していた虫のトラップに、特定の虫が多数捕獲されていたのだ。

品質管理から製造課の担当者に掃除をするように依頼しても清掃されないままであった。再度指摘をして促し、そのエリア担当者に清掃をしてもらったのだが、後日確認すると不足していてまだ食品残さが残っていた。再度話をして一緒に清掃をした。

虫の混入していたクレーム対象製品の製造日を見ると、ちょうど上記の掃除してくれ~掃除できてない~再度行おう・・・そんなやりとりをしていたヒ日であり、虫の発生源に気が付いてから掃除をして完全に食品残さを除去するまでの間に、製品に虫が混入していたとわかった。

この虫の発生源を見つけた段階で、すぐに発生源の食品残さを完全に取り除いていれば、このクレームは起きていなかったのである。ダラダラと清掃活動をしていて虫の発生源が除去されないままになっていたから、このクレームが発生したのだ。

 

掃除をきちんとするだけで防げるクレームがあると知った。これほど簡単なクレーム防止法があるだろうか。

 

話はそれるが、食品製造でのミスの話。ある機械を使い始める前に設定作業が必要であった。本来であれば、ひとりが設定をして、もうひとりが設定が合っているかチェックをしてから使用開始するのがルールになっているのだが、面倒だからといって担当がチェックせずに機械を使用し始めてしまい、設定を間違えて製造、基準外の製品ができてしまったことがあった。

また、時間ごとにチェックをつけて確認作業を行うことになっているのに、それを怠っていて異常に気がつかず、製品をゴミ箱行きにしてしまったこともあった。

防止できるはずのミスを発生させてしまい損失を出したのも、防止できるクレームを発生させてしまってお客様に迷惑をかけたのも、共通点がある。

“やるべきこと”をやっていないから起きたということだ。

「これをすれば品質のよい製品がつくれる」、「これをすればミスなくできる」、「これをすればクレームを防止できる」など各種の取り組みがある。ミスが起こったり、防げるはずのクレームが発生したりするのは、これらの“やるべきこと”をやっていないため、本気でやろうともしていないためだ。やらないことが習慣になってしまっている。

非常にシンプルでわかりやすいことであるが、あっちでもこっちでも失敗をするひと、上手くできないひとは、これに気がついていない。それぞれの失敗が独立したものであると考えていて、それぞれの失敗に関して、表面的に、場当たり的に対応するだけだ。当たり前のことをちゃんとやることの大事さを理解していないし、継続しない。

こちらの記事にも書いたように、徹底してできるかどうかで仕事は決まってくる。やるべきことを淡々とやればいいだけだ。

 

この記事を書いていて思い出したことがある。

社会人になった仕事を始めたばかりのとき、お客様が工場を見学されたことがあった。お客様の交通手段は電車で、最寄り駅から工場は離れていたため、「お客様を駅まで迎えにいってくれ」と営業の上役に指示された。さらに「車内の足元が汚れているから事前に掃除しておけ」と見学の前日に言われた。

前日に時間をとってやっておけばいいもの、当日の出発前にやりだして、社内の足元のマットを適当に拭いたり、一部は拭かずに汚れを隠したりして、テキトウに処理をした。

で、上司が「そろそろ迎えに行ってくれるか?車の中はキレイになったか?」と確認すると、土のついた車内の足元、さらに不要な荷物が積まれてみっともない後部座席を見るやいなや、激高した。ホントは私が迎えに予定だったのだが、もういい、と上司が行ってしまった。

表面的にささっと掃除をしてすまそうとしたのだ。

掃除することで防げるクレーム何度も起こしてしまうひとと同じことをしていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました