虫や毛が加熱されているか調べるカタラーゼ試験

食品へ虫や毛髪の混入があったとき、どこで入ったのかを調べることが問題解決の第一歩となる。これは虫や毛髪だけに限らない話で、問題解決をするには、その発生原因をまず特定しなくてはならない。

虫や毛髪が加熱されたかどうかを見分ける

加熱工程がある食品への虫や毛髪の混入であれば、加熱をする前に混入したか、それとも加熱をしたあとに混入したのかを調べる方法がある。

カタラーゼ試験だ。

混入していた虫や毛髪が加熱されたのか、未加熱なのかを見分ける試験となる。

食品を包装してから熱を加える製品に、虫の混入があったとしよう。カタラーゼ試験でその虫が未加熱だと判定することができれば、製造工程で虫が混入したのではなく、出荷後に封が開けられた後に虫が混入してしまったことになる。

包装の封をした後に加熱をしているのだから、もともと包装内に虫が入っていたとしたら、虫は加熱されていなければおかしい。 加熱されていなかったということは、封が開けられた後に虫が混入したことになる。つまり、「食品会社の製造過程で混入したのではなく、出荷後に封を開けて食べたり、使用をしたりするときに虫が混入した。」と言えるのだ。

ただ、加熱工程の後に、包装工程がある製品では、その間で虫が混入した可能性もあり、「食品会社の製造過程で混入したのではなく、出荷のあとに封をあけて食べたり、使用をしたりするときに虫が混入した。」とは言えない。

とはいえ、製造工程の中で加熱前で混入したのか、それとも加熱後に混入したのかはわかるので、どこで混入したのか範囲を狭めることはできる。

カタラーゼ試験とは

カタラーゼ試験の結果で、虫や毛髪が混入したのが、加熱の前なのか、それとも加熱をした後なのかを知ることができる。捕まえて死んだばかりの虫、抜いたばかりの毛髪の毛根部分を“過酸化水素水”に漬けると、ブクブクと泡が出てくる。

この気泡の発生を確認するのがカタラーゼ試験だ。

  • 反応がなければ(泡が出なければ)、加熱されたもの
  • 反応があれば(泡が出れば)、未加熱のもの

と基本的には判定することができる。加熱されると過酸化水素水に漬けても、ブクブクと泡が出なくなるのだ。※“基本的には”判定できると書いた理由は下記を参照。

なぜ泡が出るのか、加熱するとなぜ泡が出なくなるのか

生き物の体内には、カタラーゼと呼ばれる酵素がある。生物体内の化学変化を支配する触媒で、生理作用に不可欠のものだ。 酵素は、過酸化水素水を分解して、水と酸素を生じさる。この酸素が気泡の正体となるのだが、酵素は加熱されると活性を失ってしまい、水と酸素を生じさせることができなくなってしまう。カタラーゼ試験は、この性質を利用しているのだ。

酸素ガスが出ない → 酵素が不活性化している → 加熱された

というロジックだ。

※虫を試験するときには、すり潰して均一化したものを使用すると精度は高くなるが、食品会社から検査会社に試験を依頼する場合には、虫の形を残しておくために虫に傷をつけて試験をしたりする。

オキシドールをカタラーゼ試薬の代用品として使うこともできる。カタラーゼが失活して、分解する力がなくなり、もう試験ができなくなる。正確な結果を得たい場合は、専門機関に依頼したほうがよい。

そのほか、注意したい点がある。

判定に関する注意点

このカタラーゼ試験は、異物の虫や毛髪が加熱・未加熱なのかの判定を100%保証するものではない。 食品を包装してから熱を加える製品の場合では、基本的には、カタラーゼ試験で反応が見られなかったら、自社の製造工程中での混入して、カタラーゼ試験で反応が見られたら、自社外での混入と判断できても、未加熱の虫や毛でも、反応が見られないことがあるし、逆に、加熱された虫や毛でも、反応が見られることがあるのだ。

未加熱の虫や毛髪でも、カタラーゼ反応が見られないとき

未加熱の虫や毛髪でも、それらが死んでから、または抜けてから長時間置くと、自然とカタラーゼ反応が見られなくなる。

加熱された虫や毛髪でも、カタラーゼ反応が見られるとき

上記の逆パターンである。食品が腐敗してしまった場合には、微生物が繁殖して虫や毛髪に付着する。 加熱された虫や毛髪の酵素は失活していて反応がなくても、微生物の持っている酵素が反応してしまうことがある。

混入発見時には腐敗していなくても、発見後の保管や運搬中に腐敗が進むことはあるだろう。だから、毛髪が混入していた食品を自社に送ってもらうとき、またはカタラーゼ試験を外部の検査会社に依頼し現物を送るときには、微生物の増殖および食品の腐敗が進行しないように、冷凍の温度帯で送付すべきである。

調べる前には、加熱されたのかどうかわからない状態だ。食品の腐敗が進んでいると、反応があってもそれが虫や毛髪の酵素のはたらきなのか、微生物の酵素のはたらきなのか、判断が微妙になってしまう。

過酸化水素水に漬けたらブクブクと泡が出たからといって、簡単には判断ができないということだ。 総合的に判断をする必要がある。カタラーゼ試験の結果は、その総合的な判断のためのひとつの情報をとして扱うのがよいだろう。

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コメント

  1. とも より:

    判定が100%ではないという部分もふくめ、とても参考になります。