食品の保存性を高めるために、保存料、日持ち向上剤、殺菌剤が食品に使用される。食品の保存効果を高めるとはつまり、食品の腐敗を進行させる微生物の増殖を制御するということだ。よく使用される添加物は下記のようなものがある。
殺菌剤は食品に添加して後からの保存性を高めるというよりも、製造段階で殺菌しておくものなので、少し種類が違うが記載しておく。
保存料
食品中の微生物の生育を抑制し、食品の保存性を高める添加物を、保存料という。
ソルビン酸
食品のpHを低く抑えることで(酸性にすることで)、静菌作用をもたらす。よく食品に使用される。
0.05~0.2%の添加で細菌、酵母、糸状菌(カビ)に対して効果がある。しかし、嫌気性芽胞菌、乳酸菌、酢酸菌に対しては、効果がない。
白子たん白(プロタミン)
ニシンやサケの精巣の中から抽出したプロタミンやヒストンなどの塩基性タンパク質だ。「しらこ」の「タンパク質」で白子タンパクだ。耐熱芽胞菌や、乳酸菌、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌によく効くし、120℃30分の加熱にも安定である。ソルビン酸とは異なり、弱酸性から中性、アルカリ性まで抗菌性を発揮する。
ポリリジン
細菌に対して抑制効果をもつ。カビに対してはやや効果が弱い。
日持ち向上剤
保存料よりも作用が弱く、日持ちをわずかに改善する程度のものを日持ち向上剤という。短期間の腐敗を抑える。
グリシン
アミノ酸の一種で、グラム陽性菌、とくに芽胞菌(耐熱性菌)に対して有効。対象食品の制限はなく、幅広く利用される。
コンビニで買ったおにぎりの一括表示を見てみると、グリシンの表記がある。
リゾチーム
卵白の中に含まれている溶菌酵素で、芽胞菌(耐熱性菌)に有効である。グリシンと併用した製剤が一般的である。
酢酸・酢酸ナトリウム
幅広い細菌類の生育を抑える効果がある。
エタノール(酒精)
殺菌料
次亜塩素酸ナトリウム
野菜、果実の殺菌に使われる。保存料や日持ち向上剤を活用して、保存性を高める。
保存料や日持ち向上剤の選び方
対象食品がどのような食品なのか、水分の多さやpHによって、使うべき保存料や日持ち向上剤は変わってくる。
添加物メーカーに問い合わせて、使用を考えている食品に、どの添加物をどの程度の配合%で使用するべきか確認しよう。どれだけの静菌作用があるのかなど実験データがあるはずなので見せてもらうとよい。
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