同じメーカーの原材料で、とても似た名前の異なる二つの原材料を使用していることがあった。この記事に書くのは、名前が似ているがゆえに起こった失敗の話だ。
間違った名前の原材料が納品され、さらに、製造で使用までしてしまったことが何度かあった。同じ原材料メーカーのもので、非常に似た名前の二つの原材料があると、識別が難しく、取り間違えしやすくなる。とくにシステムを導入していない中小企業では、手作業や目視での確認が多くなるはずなので、似た名前のものを取り扱うときには注意が必要だ。
紛らわしい名前、似た名前に注意
アルファベットで識別する別商品
頭文字は同じで、語尾に数字とアルファベットを入れて違いを表す商品名であった。アルファベットがひとつ違うだけで、非常に紛らわしかった。
- ○○○○○C5.0
- ○○○○○E5.0
商品名であった(○○○○○には同じ食材名が入る)。梱包ケースは同じサイズ、同じ見の原材料の製品自体の見た目は若干の違いがあるだけで、意識していないひとは気が付きにくい。
「○○○○○C5.0」を使う予定があって注文したのに、業者のミスで
「○○○○○E5.0」が納品されてしまったことがあった。発注書は「○○○○○C5.0」で流したが、現物は「○○○○○E5.0」で、納品書にも「○○○○○E5.0」と記載されて納品されたのだ。
- まず、入庫のチェックで気がつかなかった。
- それから、製造時に使用前に保管庫から出庫するときに気がつかなかった。
- さらに、製造で使用するときに使用者が気がつかなかった。
という流れで、製造で使用してしまったのだ。
ところで、組織で失敗をしてしまったことを後から振り返ってみると、どこかで誰かが気が付いて手を打っていれば失敗を防げたのに・・・と思うことがある。失敗するか上手くいくかどちらかへ続く道の分岐点がいくつかあるのだが、分岐点ではすべて失敗側を選んでしまったようなものだ。1箇所でも上手くいく側の道を選んでいたら、失敗は防げたのだ、上の例でいうと、入庫時に納品書や、商品名の表示の間違いに気がつかず、使用するときにも商品名の表示が間違っていることに気がつかなかった。どこかで誰かしらが気がつくことができれば、間違った原材料を使って製造を行ってしまうことを防げたはずなのである。
商品名の頭文字が同じ
また、同類だが異なる原材料で、食材の一般名称が頭文字にあり、その後ろに異なる言葉がついている商品名のものがあった。
- ○○○○○スーパーリッチ
- ○○○○○ハイクオリティ
といった具合だ(○○○○○には同じ食材名が入る)。工場の保管庫にこれら2つの原材料が置かれていて、「○○○○○スーパーリッチ」を使用してつくる製品に、間違って「○○○○○ハイクオリティ」を使用してしまう間違いも発生した。
梱包ケースのサイズや見た目も同じ、ケースの中のパックも同じであり、違っているのは表示された商品名だけなのである。原料保管庫から出庫するときに商品名を確認しておらず、 使用するときにも名前を確認していなかったのだ。
また、この原材料に関する別の失敗で、発注の失敗もあった。
「○○○○○スーパーリッチ」と「○○○○○ハイクオリティ」の2原材料を仕入れて使用していたのだが、「○○○○○スーパーリッチ」を使用していた製品が製造終了したので使わなくなり、発注もしないことになった。
その後、「○○○○○ハイクオリティ」を発注しようというときに、間違えて「○○○○○スーパーリッチ」のほうを発注してしまったのだ。
発注書には、そのサプライヤーの原材料商品が一覧になっていて、原材料名が書かれた行に、数量を書き込んで発注書類を流していた。表には「○○○○○スーパーリッチ」と「○○○○○ハイクオリティ」が2つ並んで記載されていて、数量を書き込むときに間違った方に数字を書き込んでしまったのであった。
これらの失敗は、チェックを怠っていたということもあるが、商品名が似ていて識別しにくいのが大きな原因だ。中小企業では、発注にしても入庫にしても、手作業で業務を行ったり、目視で確認をすることが多いだろう。商品名がわかりにくい、紛らわしいものである時には、いっそうの注意を払う必要が出てくる。
似たような名前を間違えないためにはどうすればいいか
パッと見で違いがわかる名前にする
上記の例では、よく見てゆっくり読まないとわかりにくい商品名なのである。発注をしたり、入庫管理をする人が、一字ずゆっくりと読んで確認するひとであればいいいが、おっちょこちょいな人だと、読み間違いやすい。また、普段は仕事が丁寧なひとでも、急いでいるときには同じく読み間違ってしまう可能性が高くなる。
これは、原材料のメーカーが考慮をして、類似品とはいえ、判別しやすい商品名にすべきだろう。
- ○○○○○○C5.0
- ○○○○○○E5.0
は、わかりにくすぎる。既存品の商品名の変更はできないが、自社のPB品としてつくってもらった原材料であれば、名前も決められるはずなので、依頼して変えてしまうのよいだろう。
間違えてをメーカーに聞いてみたら、他にも間違えて納品してしまうことがあると言っていた。メーカー自身も間違えるほど、わかりにくいということだ。だったら名前を変えればいいのにと思う。
この2つの原材料は、違いをCとEで表しているのだが、これを日本語にしてしまうのはどうだろうか?原材料としてつかうものであれば、エンドユーザーに渡るものではなく、業者間で取引するものだから、 商品名がダサくても別にいいのだ。
- ○○○○○○5.0
- ○○○○○○5.0(×××××)
×××××には、違いを表す日本語が入る。
商品名の頭文字が同じで語尾が異なる原材料名であった、
- ○○○○○スーパーリッチ
- ○○○○○ハイクオリティ
これらの商品名は、先頭の言葉は同じで、その後ろにつけた言葉で違いを表しているのだが、同じ語数でわかりにくい。仮に、先頭に入る食材名が「デミグラスソース」だとしたら、
- デミグラスソース スーパーリッチ
- デミグラスソース ハイクオリティ
パッと読んだときに識別しにくい。これをたとえば、
- スーパーリッチ デミグラスソース
- ハイクオリティ デミグラスソース
と逆にするだけで、だいぶ見間違う可能性が減るはずだ。
間違えたくても間違えられないようにしてしまう
- ○○○○○スーパーリッチ
- ○○○○○ハイクオリティ
を間違えて発注してしまった例をあげた。 「○○○○○スーパーリッチ」は、すでに今後使用しないことになっていたのだが、 この数量を書き込むときに、「○○○○○ハイクオリティ」の欄に発注数を書くのに、「○○○○○スーパーリッチ」の欄に書き込んでしまったということであった。
「○○○○○スーパーリッチ」はもう発注することがなかったのだから、発注書に記載されている原材料名の一覧から削除しておけばよかったのだ。
そうすれば、間違えて注文してしてしまうことは、無くなる。
注意して入力したり確認したりするのは大変。つかれているときなどには、ミスも発生しやすい。がんばらなくても間違えないようにする、間違えたくても間違えられないようにするのがポイントだ。上流工程で工夫をして、どうやっても間違えないような工夫を施しておけばよい。
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