開発をして量産を開始するとき、いわゆる初期流動期間には、失敗が起きやすい。製造者がやり方を慣れていなかったり、予期していなかった問題が起きたりするからである。
製造を何度も行うにつれて、製造担当者はやり方を熟知していくし、発生した予期せぬ問題も対応して再発防止をするので、失敗は無くなっていく。
この記事では、開発~量産の間に発生する失敗についてお伝えしたい。
開発から量産へ移っていくときに、毎回なにかしらの失敗がよく起きてしまう会社の方にとっては、役に立つ話だと思う。多くは、開発工程が定まっていない中小企業の方だろう。開発工程が定まっている大手企業にとってはあまり必要ない話かもしれない。
商品開発から量産へと移っていく流れは、
・開発担当が設計をつくる
・開発担当と製造担当で工場ラインでテスト製造をする
・初回製造、量産を開始する
となる。
私のいた工場では、テスト製造をするとき、またその後、量産に移るときによく失敗をしていた。
使用する原材料を間違えた。
原材料の使い方を間違えた。
製造の順番を間違えた。
包材を間違えた。
あまりに間違えるので、私は本質的な原因をつかもうとして、失敗を記録して、どういう失敗だったのか、どういう経緯で発生したのか、といった点を記録していった。
よく失敗が起きていたし、ずっと記録を続けたのでデータがたまっていった。そのデータを眺めていると、そこに法則性が見いだされ、次の2つに集約することができた
①どういうふうに製造するか示した設計書、指示書がなかった
②わかっているひとが確認していなかった
再度記載するが、商品開発から量産へと移っていく流れは、
・開発担当が設計をつくる
・開発担当と製造担当で工場ラインでテスト製造をする
・初回製造、量産を開始する
となる。
テスト時にはふつう、商品の規格や、作り方、注意点などをまとめた指示書が、製造担当者などの関係者にわたされるだろう。しかし、開発担当は資料はつくらず、自分がテスト製造時に口頭で指示したり、一緒に作業をしていた。
稀に参加できないとき、または参加しようとしないとき、口頭で話を聞いていてた製造担当者がテスト製造を進めて、やり方を間違えた。また、開発担当者がテスト製造に遅刻をするときに、「先に進めといて」と製造担当に言った。製造担当がテスト製造を開始して進めたら、やり方を間違えた。
といった失敗があった。
「どういうふうに製造するか示した設計書、指示書がなかった」ので、製造担当は正しいやり方がわからなかったし、
「わかっているひとが確認していなかった」から、間違ったまま作業が進んでしまったのだ。
だから、その対策としてこうすればよい。
・かんたんなものでもいいので、商品の規格や、作り方、注意点などをまとめた、指示書を出す
・わかっているひと(この場合は開発担当)が、現場に立ち会って確認する
これらを行えば、間違えないのである。当たり前の話かもしれないが、この当たり前のことをしっかりできるかどうかだ。
事前にテスト製造で気を付けるポイントや要チェックするポイントをリストアップしておく。
製造担当は、はっきりとわからないまま、たぶんこうだろうと作業を進めてはならない。わかっているひとが、立ち会ってひとつずつ確認しながら作業をすすめていくことだ。
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