徹底とはなにか

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仕事は徹底度で決まる。

元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の吉越浩一郎氏の著書「仕事ができる社員、できない社員」などに書かれている言葉だ。

仕事は徹底度で決まる

吉越浩一郎氏は「仕事は徹底度で決まる」という。私語を禁止して仕事に集中する時間を設ける取り組みである「がんばるタイム」の導入や、残業禁止などの取り組みを行った方だ。徹底的にやったとのこと。がんばるタイムでは、私語をしたり立ち歩いたりするひとがいないか取り締まる担当を設けたり、定時になったら問答無用で電気を消すなどした。

こういった取り組みは中途半端にやっては意味がないのだ。食品工場の取り組み、品質管理においてもそうだ。たとえば、クレームの再発防止対策を考えて実行していこうと決めたとする。そうしたら、それをどれだけ徹底してできるかである。たまにやらない日があったり、やらないひとがいたりしてはいけない。毛髪混入対策でも、不具合発生防止対策でも、徹底して行うのである。

徹底的にやってみてけれども上手くいかないので、やり方を変えてみようということになったら、それはそれでよい。まずは徹底的にやり抜くことが大事なのである。

吉越氏以外でも経営者の本には、徹底することの大切さが書かれているのをよく見る。

日本電産の永守社長のもとで、買収した赤字企業を立て直した川勝宣昭氏は、著書「日本電産 永守重信社長からのファックス42枚 」の中でこう言っている。

業績の悪い会社の1番の原因は「物事を徹底してやらないこと」、これに尽きると断言して構わないと思います。

赤字企業を買収した直後は、社員は負けグセがついていて、誰もが下を見て仕事をしている状態。 まず行うのは、この負けグセ、負け犬根性を変えるための意識改革とのことである。

意識を変え、行動を変え、やると決めたこと、やるべきことを徹底するのだ。やはり、これが会社が業績を上げていくために最も重要なことなのではないかと、本を読んで感じた。

無印良品は2001年度に初の赤字に陥ってしまったのだが、そこからの会社をV字回復させたのは、松井忠三社長が徹底して推し進めたマニュアル化であった。そのマニュアルの数がものすごい。店舗マニュアルで2000ページ、本部の業務マニュアルでは6000ページ以上にも及ぶという。

出店するか否かを決める判断方法に関してもマニュアルが完備されている。ありとあらゆる仕事をマニュアル化しているようだ。

マニュアルはつくったらそれ通りにやるだけで創意工夫はない、といったイメージもあるかもしれないが、無印良品のマニュアルは日々より良いものへ改定されるものであった。まずは、そのとき考えうる最適なやり方を決め、組織内でそのやり方を貫徹する。もっとよい方法が見つかれば、マニュアルを変え、そのよりよいやり方を徹底してやっていこうと決めるのだ。

徹底できるかどうかが会社の業績を変えるのだ。では徹底するとはどういうことなのだろうか。

徹底するとは何か

「徹底いたします。」

「徹底的に行います。」

クレーム報告書などで対策について書くときによく踊る言葉だ。この言葉が何を表すのか、漠然とであれば誰もがわかることだけれども、具体的にどういうことなのかを改めて聞かれると答えにくい。

「徹底」とはどう意味だろうか。私は、「やると決めたことを100%完璧にやること」だと考える。

やると決めたことはその時々の問題によって変わってくる。上記した「がんばるタイムの徹底」であれば、私語をしないとか電話をしない、立ち歩かないといったことを全社員が設定した時間内、100%行うことだ。

あるクレームの対策を徹底するのであれば、いつなんどきでもその対策・ルールが実施されているということだ。

徹底的に清掃をするというのであれば、食品カスひとつ残っていないくらいにすること。

工場の入口でローラーがけを徹底的にやるといったら、それは従業員が300人いたら300人全員にルール通りにやることだ。

クレーム報告書などで実際に「徹底」の言葉を使うのであれば、具体的に示す必要があるだろうと思う。少なくとも具体的にはこういうことだと意識した上で使ったほうがよい言葉だろう。「徹底」という言葉を安易に使わないようにしたい。

「○○のルールを徹底します」と言えばいっぱしの文章が書けてしまうので使いがちなのだが、クレーム報告書に書くのであれば、具体的にはどういうことなのか、何をどうやって100%完璧にやっていくのか具体的に書くようにしたい。もしそれを書くことができないのであれば、なにも考えていないのにとりあえず「徹底」という言葉を使ってしまった証左かもしれない。

元プロ野球選手の投手として活躍し、現在は野球解説者をしている工藤公康氏に関してこんな話がある。若いときにコーチと投球練習をしていると、コーチから「体が開いているぞ」と言われた。「開くってどういうことですか?」とコーチに聞くと、「言われたことだけやってればいいんだ」と言われ、まともな答えはもらえなかったらしい。

コーチはこの言葉を説明できない状態で使っていたのだ。工藤公康氏は、身体が開くとはどういうことなのか、そのほか野球に関してよく使われるが具体的にはよくわからない言葉を、それらはどういうことなのか追求していった。

私たち品質管理が使う言葉も同じだ。徹底という言葉の他にも、形容詞などのあいまいな言葉がある。「早くやります」の「早く」とはなにか。「しっかりやります」の「しっかり」とはなにか。

トリンプの話に戻る。吉越氏が行った「がんばるタイム」の成果を知った他の会社がマネしようとしたのだが、上手くいかなかったらしい。表面的なとこだけをマネし、実際には100%私語を無くす、電話を無くすといったことができていなかったのではないかと思う。

なにかをやると決めても、どうしても甘えが出てきてしまい、今日はやらなくていいか、となってしまうこともある。そういったひとも動かして、決めたことが実行されるようにしていくのは、品質管理の役目でもある。

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